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利他法律事務所
離婚問題(慰謝料・子どもの養育費など)
日本では,離婚する者の88%が協議離婚の方法で離婚しています。しかし,夫婦間の協議で離婚の合意ができない場合,裁判所において離婚調停を申し立て,調停でも合意できない場合には,訴訟を提起することとなります。離婚について,聞かれることの多い疑問などを簡単にご説明しているページ「よくある質問〜離婚問題編〜」については,右の画像をクリックして該当ページへお進み下さい。
離婚調停〜裁判
調停
離婚を求める調停は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
家庭裁判所には申立用紙のひな型が置いてあり,この用紙に記入して,必要書類,所定の収入印紙と郵便切手を添えて家庭裁判所に提出するだけで,簡単に申し立てられます。
申立後は,家庭裁判所が選任した調停委員が両者の言い分を聞き,事実関係を整理して話し合っていきます。調停で離婚の合意が成立すると,裁判所においてその旨を記載した調書が作成され,
この調書を添えて市区町村長に離婚の届け出を行います。
裁判
調停が不成立に終わり,それでも離婚したいというときは,離婚訴訟を提起しなければなりません。具体的には,「請求の趣旨」と「請求の原因」が記載された訴状を夫または妻の住所地の家庭裁判所に提出します。
裁判所において審理が進んでいき,夫婦間で合意ができれば和解で裁判が終わることもありますし,合意ができなければ,裁判所が判断することができる状態に達したと考えたとき,判決が言い渡されます。
請求の内容
離婚を求めるときに,以下の請求も併せて行えます。財産分与については,時間の経過とともに,離婚時に存在した財産が勝手に処分されたり,隠されてしまったりする危険性がありますので,離婚と同時に申し立てる方がよいでしょう。
請求内容・・・・・・ | (1)親権 | (2)養育費 | (3)婚姻費用 | (4)財産分与 | (5)年金分割 | (6)慰謝料 |
(1)親権
親権者が決まらないと,協議による離婚届は役所で受理されません。
親権者の指定については,離婚調停の申立と併せて,申し立てるのが通常です。
裁判所は,子の利益,子の福祉を基準としてどちらが親権者に適しているかを考えて親権者を決しますが,子どもが乳幼児である場合,母親によほどの問題がない限りは,母親が親権者と指定されることがほとんどです。父母のいずれとも優劣がつけられないような場合で,子どもが,子どもの意思を考慮すべき年齢にあるときは,子どもの意思も確認されます。
親権者は,子どもに対する監護教育の権利義務と子どもの財産上の管理処分の権利義務を担うこととなります。
(2)養育費
夫婦が離婚したとしても,両親は,子どもが生活するのに必要な費用を負担する義務を負います。
子どもを養育する親は,もう一方の親に養育費を請求できます。
養育費について相手方と協議がまとまらない場合には,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に,
必要書類,所定の収入印紙と郵便切手を添えて調停を申し立てます。離婚の申立と同時にできます。
養育費の金額が協議によりまとまらない場合,金額の算定にあたっては,養育費算定表が広く利用されています。養育費算定表は最高裁判所ホームページでも掲載され,夫婦それぞれの収入金額,子どもの数と年齢に応じて金額が算定されます。
家族の婚姻生活に要する費用を「婚姻費用」といいます。
家族の通常の衣食住の費用,子どもの教育費,医療費などがこれに含まれます。
夫婦のいずれか収入の多い者は,収入の少ない者が生活するために必要な費用を,その収入に応じて負担する義務があります。
婚姻費用額の算定には「婚姻費用算定表」が裁判所で広く利用されており,多くの書籍に資料として掲載されています。この表により,夫婦それぞれの収入金額,子どもの数と年齢から,簡単に婚姻費用の金額が算定されます。
(4)面会交流(面接交渉)
夫婦が別居または離婚した場合に,子どもを養育しない親(非監護親)が子どもと会うことを面会交流(面接交渉)といいます。非監護親からの面会交流希望が,子どもを養育する親(監護親)によって拒否され実現できないなどの事情については,面会交流に関する調停の申立を行います。
調停は,子どもの健全な発達のため,父母双方との交流を続けられることが不可欠との考えのもと進められます。ただし,子どもが奪取される危険性,児童虐待,監護親に対する暴力,その他犯罪行為等,非監護親に問題がある場合は,面会交流は認められません。
(5)財産分与
財産分与は,夫婦が共同して築いた財産の清算的要素を基本としますが,場合によって扶養的要素,慰謝料的要素が含まれます。財産分与を請求しようとする場合,相手方が婚姻中に財産をどこにどれだけ持っているのかを,できる限り具体的に把握しておくことが重要です。
財産分与は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に,調停を申し立てます。このとき,戸籍謄本や所定の収入印紙・郵便切手が必要となります。
離婚について調停で解決できず,離婚訴訟を提起するときには,財産分与もあわせて請求できます。
相手方によって財産を処分したり,売却したりする危険がある場合には,財産を保全する手続をとることもあります。
(6)年金分割制度
年金分割制度とは,離婚当事者の納付記録を分割する手続で,按分割合を決める手続と年金分割の請求手続の2つがあります。この制度を利用すると,例えば夫が厚生年金に加入し,妻が専業主婦で夫の被扶養配偶者であった期間がある場合,妻は,将来年金を受け取るとき,離婚のときに合意した按分割合で,夫の老齢厚生年金の一部を自分の年金に上乗せして受け取れるというものです。
年金分割制度の対象となる年金は,厚生年金,国家公務員共済年金,地方公務員等共済年金及び私立学校教職員共済年金の4種類です。配偶者が自営業の場合は,国民年金となりますので,この制度の対象になりません。年金分割の手続は,離婚した日の翌日から起算して2年以内に行わなければなりません。
※按分割合を決め方や年金分割の請求のしかたについて,弁護士との面談時において詳しくご説明いたします。
(7)慰謝料
婚姻破たんの原因が夫または妻のどちらかにある場合,離婚原因をつくった相手方に,離婚という結果によりこうむった精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。これを離婚慰謝料といいます。
典型例を挙げると,相手方の不貞行為,悪意の遺棄,暴力,暴言等に耐えかねて離婚することになった場合などです。暴力それ自体を不法行為として慰謝料請求する場合,暴力により受傷した証拠として診断書や写真が必要になります。